2013/09/11

'Persuade’

'Persuade'とか'Persuader'とかいう単語は、慣例的に「パースエイド」「パースエイダー」とカタカナ表記されている。
この単語を有名にしたのは『キノの旅』だろうか?作品内では、銃器を総称して「パースエイダー」(Persuader)と呼ぶ。
「説得者」からの連想で、「有無を言わせぬもの」「無理矢理にでも言うことを聞かせるもの」というニュアンスだ。
べつに時雨沢恵一氏の創作というわけではなく、現実世界でも武器のことを比喩的に'Persuader'と呼ぶことはあるらしい。
また、TF2に「ペルシアン・パースエイダー」(Persian Persuader)という武器もある(人によってはこっちのほうがメジャーか)。
これらの影響もあって、'Persuader'は「パースエイダー」と発音するんだと、つい最近まで思っていた。

が最近、東方の「パスウェイジョンニードル」(Persuasion Needle)のことをふと思い出した。
カタカナ表記だから気付かなかったけど、言うまでもなく、'Persuasion'は'Persuade'から派生した言葉だ。
なら、「パースエイジョンニードル」と表記されるはずじゃ?なんで「パスウェイジョン」なのか?
というわけで、辞書で調べてみた。
persuasion
発音記号 /pɚswéɪʒənpə‐/ (出典 Weblo辞書
なんてこった!発音に忠実にカタカナ表記すると、「パスウェイジョン」こそが正しかったのだ!
当然、'Persuader'の忠実なカタカナ表記も「パースウェイダー」になる。
カタカナ表記の限界やナンセンスさも理解しているつもりだけど、それでも長年「パースエイダー」と信じて生きてきただけに、ちょっと衝撃的だった。

ではなぜ、忠実な「パースウェイダー」ではなく、「パースエイダー」のカタカナ表記がメジャーになったのか?
ニホンジン的には、綴りに'w'も'q'も入っていないのに「わ行」の音が出てくるのが気持ち悪かったからなんじゃないか?という仮説を考えた。
少なくとも自分は、'Persuade'以外でそういう単語を思いつかない。
しかしかつての日本人は、確かに「エ」と「ウェ」の発音を区別できていたはずなのだ。
その動かぬ証拠が、「ヱ」。
今はもう「ヱビスビール」くらいでしかお目にかかることはないが、間違いなく存在した。
実際に'Persuader'に当てはめてみると・・・
「パースヱイダー」。ウム!しっくりくる!これだ!

では他の例はどうだろう?パースヱイダーがしっくりくるなら、同じ発音の英単語もしっくりくるはずだ。
Went「ヱント」 、Whenever「ヱネヴァー」、Overwhelm「オーヴァーヱルム」あたりは、なるほど確かに、と言った感じ。
ただ、なんとかなるのはカタカナ表記がスタンダードでない単語までで、カタカナ表記をよく見る単語だと・・・
Waiter「ヱイター」、Wet「ヱット」、Weapon「ヱポン」、Wedding「ヱディング」、Website「ヱブサイト」、Waist「ヱイスト」、Subway「サブヱイ」、Kuwait「クヱイト」、Gawain「ガヱイン」などなど・・・
だめだこりゃ!カッコ悪いったらありゃしない!
どうやら「ウェ」は思った以上に我々のカタカナ表記センスに深く根ざしている。
不本意だが、やはり'Persuade'は「パースウェイド」に甘んじるしかないようだ。

ただ、途中で思いついた「ヱルヱルドーナツ」だけは、むしろ元よりステキな響きに思えた。
ウェルウェルドーナツさん、今後はこの表記を推していくってのはどうでしょうか

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